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文系の夫

文系は作者の気持ちでも考えとくわ


文系は作者の気持ちでも考えとくわ

当たり前のリテラシーが不足している

 奥が漢検というものに昨年の暮れ頃から着手しています。受験級は伏せておきますが、それなりに難しい級でよもや 10 級や 9 級ではありません。奥は比較的教養のある日本人ですので…。

 私も「漢字ぐらいは書けた方が良い」ということで一日に 15 分ぐらいずつやっています。漢字を新しく覚えるというよりは、現状の漢字力・語彙力の水準を維持することが目的です。何たって、漢字を最後に勉強・整備したのは中学 2 年生のときですから*1

  さて、多くの人が漢字を書く(書き取り)機会を失っているのは明らかです。連絡手段が手紙からメールやアプリに取って代わられて久しいですし、殆どの文書は手書きではなく PC で作成されるのがスタンダードな時代になっています。私なども大学以降の 10 年以上は殆ど手書きをしたことはありません。ですので、忘れた漢字は数知れず、手書きの場合に「以前は書けたかも知れないが、今は書くことができない」ものが増殖しているはずです。事実、先日までホワイトボードに手書きで説明することがあったのですが、やっぱり書けそうで書けない漢字はたくさんありました。

 では、漢字が書けないときに、どうするか? 殆どの方が実践している効率的な方法は「スマホで変換してみる」ことだと思います。「書けそうで書けない」漢字は「書いてあったら読める」ものが多いと思いますので、読み仮名はわかっている場合が大半であるはずです。この方法は効率的かつ正確です。

 それでは、漢字が読めない時にどうするか? 多くの場合、「こういう漢字だから、意味は大体わかる。読み方は多分○○だけど自信がない(聞いたことがない)」ということになるのではないでしょうか?音読しているシーンであれば、読み飛ばしたり同意変換して会議を乗り切るといったことが必要になるかもしれません。それはなかなかに緊張の走る瞬間の動作です。

 いったん話をまとめておくと、漢字の読み書きに関して、現代人は下記のような状況にあると私は考えています。

  1. 書けない漢字は都度調べれば書くことが出来る(漢字力や語彙力は向上するかもしれない)。
  2. 読めない漢字はスルーして忘却の彼方へ(漢字力や語彙力は向上しない)。

 1. について、記憶力が良かったりあるいはそうでなくとも変換履歴から自分が書けなかった漢字を「復習」する習慣がある人であれば、特に問題ないと思います。それ以外の人は書けないたびにスマホで変換する羽目になるので少しですが時間が無駄です。少しずつではありますが、塵も積もれば山となってしまいます。

 問題視したい状況は 2. です。読めない漢字はすぐにはスマホで変換できません。電子文書であれば、コピペしてサクッと Google で検索することも可能でこの場合は 1. と同じ道を辿ることになりますが、紙の文書や本でこの読めない漢字に出会ったときには何らかの手間を掛けて調べることになります。仮にスマホがもう少し進歩しても、カメラを翳すなど、ある程度の手間は必要かと思われます。状況として、

  • 各々の漢字に分解すれば、調べられる。

場合には逃げ道はありますが、

  • 一つ以上の漢字の音読みも訓読みも不明。

の場合には、漢字を特定する部首や総画数の情報が必要になります。いずれの場合でも、すぐには調べることができません。例えば、部下が用意したドキュメントを上司が客先でプレゼンテーションをする場合などに上司が読めない漢字があると全体の空気感が残念な感じになります*2。空気が残念になることは畢竟ですが、このような上司が漢字の読みを後から調べるヒマはあるのでしょうか。きっとそれがないからこのような事態が頻発するわけで、それは個人の特性という話ではなく、現代という忙しい時代の特性に起因するものだと思います。

 当たり前のリテラシーが不足している人に対して、周囲の人は不安や不信を抱いても仕方ないのではないでしょうか。当事者側から書くならば、たかたが漢字ごときで信頼を失ってしまう可能性があるわけです。

 漢字であれ、外国語であれ、計算であれ、論理であれ「ちゃんと学校出てるの?」と言われないように、また職業に関連する専門用語であれば「仕事させて大丈夫なの?」と言われないように、現在ある知識を時折チェックしたり整備することは結構重要なことなのではないかと思った次第です。

 

 

*1:漢字を最後に勉強したのは中学 2 年生のときですから:当時の現国の先生は猛烈に恐ろしかったので、怖くて勉強しました。高校 2,3 年生のときにも担任をしていただき、本件含めてお世話になったとも思っていますし、いまだに尊敬している先生です。そういえば、高校になってからは漢字を漢字として勉強することはありませんね。もちろん現代文の文章でたまに書き取りとかはありますけど。

*2:上司が読めない漢字があると全体の空気感が残念な感じになります:話は逸れますが、漢字以外でも「本来であれば詳しいはずの用語」を間違って覚えていたり、イントネーションが違っていたりするとやはり微妙な空気になるはずです。